新年のご挨拶ここにタイトルを入力してください

 本務・兼務社での元日御奉仕も無事終わりました。
 秋祭りは週ごとに分けて執り行いましたが、なぜかこの元日の祭りだけは、みんな一緒の日なんですよね〜。

 元日のお祭、歳旦祭
 この祭りで、神社では一年が始まります。そしてその祭典終了後に、斎主により新年の御挨拶をさせていただくのですが、今年は三社ほど斎主を務めさせていただきまして、御挨拶させていただきました。
 それをこちらでも、公開させていただきます。
 ちなみに三社のうち、ちゃんと挨拶できたのは一社のみと……(´-ω-`)


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 新春を寿ぎ、謹んでお慶び申し上げます。
 さて、神道は於きまして、神様とは尋常ならざる存在であり、それは畏れ敬う対象でもありましょう。例えば先祖の御霊であったり、神話の中の神々であったりしますが、私たちにとって古より最も身近にあり、ときに恩恵を受け、ときに恐ろしくもあるものは「自然」ではないでしょうか。

 昨年は、一月の新燃岳の噴火から始まり、三月には東日本での大震災、さらに九月には大型の台風の直撃と、自然の強大さを改めて思い知らされた年ではなかったでしょうか。
 取り分け、東日本大震災は未曽有の大災害と称され、死者不明者は約二万人という甚大な被害がもたらされ、被災地は、ご承知の通り、今なお爪痕が消えてはいません。

 天皇陛下には震災直後にテレビを通じてお言葉を下されました。更に両陛下は数度にわたり、被災地に行幸啓あそばされ、瓦礫の山に向かい深々と祈りを捧げられ、そして、避難所の床にひざまづかれ被災者と同じ目線でお声をかけられるなど、心を癒し励まし続けています。
 これは今回の震災に限ったことではなく、歴代の天皇陛下は悠久の歴史のなか、常に「国安かれ民安かれ」と平安と安寧を祈り続けられてこられています。
 元日早朝、宮中にて一年最初の四方拝というという儀式が執り行われ、天皇陛下に於かれましては伊勢の神宮、そして四方の神々に、国の平安と国民の安寧を祈念されました。
 そして全国の神社では、先程、祝詞で申し上げましたように、皇室の弥栄と、皆様方のご健勝をご祈念申し上げられます。

 また、明年平成二十五年には、伊勢の神宮の「式年遷宮」が控えております。一般に伊勢神宮と言われていますが、正確には、百二十五のお社の総称として「神宮」と呼びます、
 そして式年遷宮は二十年毎に、その百二十五のお社全てをお立て替えし、古いお社から新しいお社へ神様にお遷りいただく、国をあげての一大事業が、約千三百年もの間繰り返し繰り返し行われ、その度に伊勢の神宮は若返り、また生まれ変わってきました。

 西洋では、例えば石造りの立派な宮殿を作り、それが存在し続けることに永遠を見出していますが、日本では伊勢神宮のように新しいお社に御建て替えし、古い社は解体されまた別の社の礎となる、というくり返しくり返しの循環の中に、永遠を見出す文化がございます。
 それは地震や台風の中で生き続けた我々の祖先が見出した、自然との付き合い方の一つではないでしょうか。

 昨年の災害により、瓦礫の山と化し、または津波に攫われ、あるいは土砂によって埋没し、かつての街並みを失った被災地は、少しずつではりますが整地され、新しい家も建ち始め、また倒壊した神社も祠など建立され、以前と同じ街並みではありませんが、しかし芯となる処は同じとする新たな街へと生まれ変わろうとしています。
 それだけの力が日本にはあることを、何よりここ広島に住む私たちはよく理解しているところかと思います。

 今年は辰年でございます。広島県人にとっては「鯉の滝登り」という広島東洋カープ同様に馴染みのある故事にあるように、鯉が滝を登る勢いの如く、鯉から龍へと成るが如く、日本の復興と飛翔、また皆様方にとっても良き年の美し年でありますことをご祈念申し上げ、新年のご挨拶とかえさせて頂きます。
 
 本年もどうぞよろしくお願いします。

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